

ある大企業へ取材にうかがったときのことです。その会社は、いわゆるナノテクノロジーを主力業務に、その内容も専門的かつ高度。社長様へのインタビュー開始前、まずご本人からは「専門家でないあなたに、私たちの仕事がちゃんと記事に表現できますか」、と言われました。
たしかに1時間足らずの持ち時間で、専門用語を交え突っ込んだ取材をするには、その道の専門家でない私に役不足印象は否めません。だからこそ資料をかき集め徹底的に読み込んで理解し、基本の「き」だけでも受け答えできるように、準備をしてきました。しかし内容は、予想よりはるかに難解でした。
内心冷や汗をかきながらなんとかインタビューを終えたものの、原稿はさらにやっかい。なにしろ言葉を伝えるためには、まず相手の「気持ち」、つまり言語だけでなく現場で体感した、相手の熱ごと言葉にしなくてはならないからです。時代の最先端で技術をけん引する企業の、しかも社長様が一番言いたかったことを、どう表現するべきか。悩みに悩んだ末、私が例えに使ったのは「故事成語」でした。
もちろんご本人は、そのようなことはおっしゃっていません。どんなフィードバックが届くか、ドキドキの納品でした。
それから数日後、見知らぬ番号から携帯に電話が入りました。出てみると、相手はなんとその社長様です。とっさに「よけいなことを書いたから叱られる!」と身構えたのですが、そうではなく、感謝の言葉を伝えてくださったのです。
「あの表現は、まさに的を得ていたね。私には考えつきません。やはりそれぞれの分野でプロに任せることがいかに有益かよくわかりました。いい記事を書いてくれてありがとう」
こういうお話で、直接取材対象者さまよりお電話をいただく機会などまずありませんから、もちろんとても驚きうれしかったのですが、それと同時に、「プロとして相手を認めるのに、上下などない」という社長様の姿勢は、大変よい勉強になりました。 そして、この考え方はまさに私たちがお届けするビジネス環境「サイバープロジェクト」の理念にも、通じるものがあるのです。シナジーゲートで出会う多くのクライアントとプロフェッショナルの皆様も、これから、同じ喜びをたくさん体感していただけるものと信じています。
「シナジーゲートの卵」担当